草なぎ剛主演の映画「ミッドナイトスワン」。
トランスジェンダーという難しい役を草なぎくんが挑んでいました。
草なぎ剛主演の作品といえば、僕は「任侠ヘルパー」が1番大好きですが、
ミッドナイトスワンは任侠ヘルパーを超えられる作品になるのか、
そう考えると、この映画がとても楽しみでしたし、とても興味がありました。
そして、待ちに待ったこの映画は、9月25日に公開されました。
公開されてからというもの、何か心にグサッと突き刺さっている不思議な愛がありました。
だから今回は、公開されたミッドナイトスワンのネタバレやあらすじ、そして感想を述べていきます。
ミッドナイトスワンは内田英治が原作、監督、脚本、を手掛けたヒューマンドラマ。
「キャスト」
凪沙役:草なぎ剛
桜田一果役:服部樹咲
桜田早織役:水川あさみ
洋子ママ役:田口トモロヲ
片平実花役:真飛聖
瑞貴役:田中俊介
キャンディ役:吉村界人
アキナ役:真田怜巨
桑田りん役:上野鈴華
桑田真祐美役:佐藤江梨子
桑田正二役:平山祐介
武田和子役:根岸季衣
音楽:渋谷慶一郎
ネットフィリックスで配信されている、「全裸監督」の内田英治監督が、今回どのような作品に仕上げていくのかとても興味ありましたが、
僕が1番興味があったのは、やはり「草なぎ剛」の演技です。
ストーリーを、彼がどう演じているのかとても興味がありました。
僕の予想では、今作は面白い作品になっているのではないかと感じていました。
彼自身も、「僕の代表作になる」と述べているほどですから。
だから今回は、この作品の簡単なあらすじやネタバレありのあらずじ!感想を述べていきます。
「簡単なあらすじ」
トランスジェンダーの凪沙(草なぎ剛)。
母親に頼まれ、故郷の東広島から、親戚の娘である「桜田一果」を一時、アパートであずかることになります。
叔父の元を訪ねてきた一果は、凪沙の姿をみて少し戸惑いながらも、2人の生活は始まっていきます。
一果が転校した学校で男子生徒に馬鹿にされたことが原因で、男子生徒に机を投げつけます。
机を投げつけたことで、凪沙は、学校から呼び出しを受けますが、
凪沙は、「学校とか謝りに絶対行かないからって先生に言っといて」と伝えます。
そんな2人の関係がよそよそしいなか、桜田一果は、バレエに興味をもちだします。
バレエ教室の前でバレエを見ていた一果は、バレエの先生に呼び止められ、数日後、バレエ教室に参加することになります。
凪沙に内緒でバレエ教室に通っていた一果は、バレエ教室の月謝を払うため、友達の桑田りんに誘われ、違法なバイトをすることになります。
違法なバイトをしたため、警察に保護された一果は、凪沙に内緒でバレエをしていたことがバレてしまいます。
一果がバレエをしていることを知った凪沙は、一果がバレリーナとして驚くべき才能があることを知ります。
凪沙は次第に一果の好きなことを応援するようになっていくのですが・・・
「ネタバレありのあらすじ」
凪沙(草なぎ剛)は、新宿のニューハーフショウークラブ(スイートピー)で働いています。
トランスジェンダーの凪沙は、ショウーのために白鳥の衣装を身にまとい、仲間と共にショウーを行っています。
凪沙は母親に頼まれて、仕方なく桜田一果をアパートであずかることになったのですが、
一果は母親(桜田早織)の暴力で、母親と一緒に暮らせない状態になります。(期限あり)
バレエ教室に通うことになった一果は、警察沙汰になったせいで、凪沙にバレエをしていたことがバレてしまいます。
凪沙は、バレエ教室の先生に言います。
「バレエはお金が掛かる」!
バレエ教室の先生(片平実花)は、言います。
「一果は才能がある、一果を育ててみたい」。
一果にバレエの才能があることを知った凪沙ですが、ことの発端は新宿のニューハーフショウークラブ(スイートピー)での出来事でした。
一果を1人にすることが心配で、スイートピーにつれてきた凪沙。
凪沙たちはいつもどうり、お客さんにショウーをみせていました。
しかしながら、あまりにもダンスが下手くそすぎるせいで、酔っ払ったお客さんが怒ってしまいます。
それを一果が見ていたのですが、揉め始めた後、なぜか一果が突然バレエをし始めます。
その才能あるバレエをみた凪沙は、一果をバレリーナとして成長させるために支援しようとします。
次第に、一果の母親になりたいと思いだした凪沙は、ご飯を作り、母親としての努力をし始めますが、
突然、母親の早織に、故郷の東広島に連れて帰られます。
迷いながらも、性転換手術をするためにお金をためていた凪沙は早々に決心します。
本当の女になるために、迷っていた性転換手術をします。
手術をしてまでも一果の母親になりたかった凪沙は、一果を自分のアパートがある新宿に連れ戻そうと広島まで行きますが、母親の早織と大喧嘩になります。
一果の母親に追い出された凪沙は、上半身裸同然のような状態で東広島の家から出ていきます。
それからというもの、一果は、何事もなく地元の東広島で中学校を卒業します。
中学を卒業した一果は、ふたたび、凪沙がいる新宿にいきます。
凪沙のアパートについた一果は、部屋に入っていきますが、驚くべき光景を目にすることに。
それは、手術のせいで下半身が血だらけになって寝込んでいる凪沙をみます。
凪沙が海が見たいと言い出したので、一果は凪沙を連れて海にいきます。
海をながめる2人、凪沙との最後のお別れシーンがあります。
沖に向かって1人歩く一果のシーン。
その後は、ネタバレしてしまうと作品が楽しめなくなりそうなので、大筋のネタバレ&あらすじはここまでとしておきます。
「感想」
僕がこの作品で感じたことは何と言っても、草なぎくんの演技がまた1つ超えた実感があります。
ストーリーとしては、今まで多くの作品を見てきた僕からすると、そんなに驚くほどガツンとくるストーリーではありませんでした。
ただ、トランスジェンダーという立場の気持ちが少しわかったような気がします。
トランスジェンダーとは、性自認(心の性)と身体的性が一致しない方を指します。
そんな難しい役を草なぎくんは演じているのですが、
トランスジェンダーの気持ちとか、苦しみとか、そんな部分にフォーカスした作品であることは間違いないです。
トランスジェンダーが、この作品を見てどう感じるのかは僕にはわかりませんが、
本格的にトランスジェンダーの生き様を描いている作品であることは間違いないだろうと感じました。
草なぎ剛演じるのは、見た目は男なのに心は女という、トランスジェンダー役です。
とてもリアルに感じさせされるその役は、草なぎ剛くんだからこその演技だと感じています。
それほど彼は、この役を真剣に演じていたと思うし、本物のトランスジェンダーになっていると感じました。
その1つとして、彼が「本物の女性に見えた」ことにあります。
そうなのです、草なぎくんが本物の女性に見えた瞬間が確実にありました。
女性役を平然とこなす草なぎくんは最高に役者の魂が光っていました。
というのも、この作品の草なぎくんは、長い髪の毛、地味なコートに派手な赤い衣装、化粧などの、女性としてのファッションがありました。
そのファッションは、派手すぎず、地味すぎないファッション。
僕は、ファッションをみながら、この作品をすべて堪能していったわけです。
作品で女性を演じている彼のキャラクターにある、圧倒的なオーラはどこにあったのか。
その凄さを見せつけられた場面は、確実にありました。
女を捨て、もう1度男になって、作業着で男の仕事をして一果の人生をとにかく守ろうとするシーンがあります。
凪沙という役の「女」である演技から、「普通の男に戻ろうとする女」の演技をするシーンがあるのです。
それが、短髪に戻った草なぎくんの表情です。
僕はこれ、単調なストーリーであくびが出そうになっていた瞬間でしたが、
この演技だけですべてがチャラになってしまったほどの強烈なインパクトがあったのです。
髪型やその他はすべて男に戻そうとしたのだけれど、身体の源である女の影がプンプン残っているというもの。
インパクトどころか、内容なんかどうでもよくなったほど、とても草なぎくんの演技が光っていたんですよ。
「凪沙」、それが、まったく違和感ないんです。
このシーンの草なぎくん、やはり本物の役者だと感じていました。
大御所の演出家たちが草なぎくんを褒めるっていうのも、やっぱり才能が違うからなんだと思います。
もし他の俳優さんが演じたなら、ここってものすごい違和感になるか、男が際立ってみえるかのどちらかだと思うんですよね。
もし彼ではなく、別の役者が演じていたなら、どこか浮いた作品になっていた気もします。
そして、もう1つのみどころになると思うのですが、
服部樹咲さんの演技がものすごくそそられました。
演技にしては、とてもキレがあるバレエだと感じていましたが、実はユースアメリカグランプリファイナル進出とか、
NBAジュニアバレエコンクール東京2018で1位になったり、名古屋のコンクールで1位になったりと、
数々の有名なバレエのコンクールで1位になるほどの成績をおさめている新人女優さんなのです。
数百人のオーディションの中から選ばれたそうですが、
とにかく表情が気になってしかたなかったです。
無表情で、言葉の数も少なかったですが、その演技が妙にガツンとくるし、
キレのあるバレエをする姿が作品に溶け込んでいて最高に良かったです。
やはり、本格的なバレリーナの姿がみれたことがこの作品をワンランク上げた気がします。
そしてバレエ教室の先生役である片平実花役の「真飛聖」の演技も評価が高いです。
真飛聖は、宝塚歌劇団を退団し、数々のドラマや映画に出演している人気女優です。
闇金ウシジマくんでも見た、安定感ある演技力に加え、普段よくいそうでいないような「美人な女性」としての存在感は、
安心してこの作品にも入り込むことができました。
そして、今の日本の女優さんとして欠かせない存在になっている、「水川あさみ」
彼女は今回母親役として演じていますが、今まで見たことがないキャラクターを演じていたことに少しびっくりしました。
だって金髪ですからね。
また、お金もちの主婦を演じるにふさわしい、桑田真祐美役の女優、佐藤江梨子も見ていてその存在感には自然に納得できてしまいます。
それはさておき、桑田りん役の上野鈴華さんもこれからどんな演技をしていくのか、今後の活躍が楽しみですね。
「最後に」
この作品をみて感じたことは、差別。
僕はあまり差別という言葉が好きではありませんが、
昔から差別にもいろいろあるし、貧困によって、より大きな差別も生まれているこの世界です。
本当に様々な問題が描かれるなか、この作品、凪沙と一果は、差別という部分で共有できたのだと感じています。
お互いに、差別という現実に対し、行き場のない人生、1人だけで我慢をする人生、というものに諦めもあった。
だからこそ、差別を乗り越えて得た愛情を、2人は吸収し共有できたのだと思います。
その想いはやがてどうなるのか、本当の幸せとは何か・・・を考えさせられてしまいます。
例え他人が何を言おうと、2人の絆は消えないだろうし、
2人にしかわからない絆の形というものがあったりします。
まさにこの作品は、1つの苦しみがお互いだからわかり合えるような、
2人だけにしかわからないからこそ、その思いが強い愛を表現している気がしています。
何があってもそこに成長はあるはずなのだ。
そう感じさせられた作品だと感じました。
そして、草なぎ剛という俳優の凄さと、これからの草なぎ剛の演技もまた見たいと思いました。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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