東野圭吾作品の中でも310万部という驚異の人気を誇るマスカレードシリーズの「マスカレード・ホテル」。
小説すばるで連載された小説をまとめた東野圭吾25周年記念作品第3弾の作品「麒麟の翼」「真夏の方程式」に続く第3弾の作品。
2011年に単行本が発刊されている長編ミステリー小説ですが、発売開始から2019年1月18日、
ついに映画化されました。さっそく映画館へ直行しました。
感想としては、まずまずの作品に仕上がっていると感じています。
内容は、小説とは少し違うものの、「映画としてのマスカレード・ホテル」のおもしろさを感じていました。
どこが面白かったのか・・・
まだ映画を観ていない方のために、今回もお伝えしたいと思います。
今回は東野圭吾作品ということで、「容疑者Xの献身」を思い出していました。
容疑者Xの献身はガリレオシリーズ第3弾。
今日までの僕の中では、東野作品の映画版では、「容疑者Xの献身」が1位です。
ちなみに、2位が「手紙」です。
1位と2位、どちらも面白い作品で大差ないのですが、どちらかというと紙一重で「容疑者Xの献身」のほうがおもしろかった。
いまのところ映画化された東野圭吾作品の中で、この作品を超える内容を僕は見たことがありません。
※2位の「手紙」も大変おもしろい作品です。
なので僕としては、今回劇場公開映画された「マスカレード・ホテル」が容疑者Xの献身や手紙を超えているのかとても興味があったのですが・・・
容疑者Xの献身や手紙よりおもしろいのか?
という気持ちがおさえきれなかった。
小説では、自分の中にある妄想が作品をより面白く感じることができることに対し、
映画の場合は、演出がうまく仕上がっているかがとても重要だと思っています。
原作が映画化される場合、映画は原作を超え、より多くの演出で楽しむことができるエンターテイメント。
だから、小説と映画に多少ズレがあったとしても、映画が面白ければそれで良いのではないでしょうか?
僕は、小説の内容と映画は少し違って当然だと思っています。
小説なら、小説で妄想を楽しむことができると思いますし、映画は演出を映像化された娯楽で楽しむ事ができるものだと思っています。
何が言いたいのかというと、つまり、小説と映画を同じものとして捉えなくてもいいと僕は思うのです。
小説をみて勝手に自分の中でキャラクターを決めつけてしまうことってよくあると思います。
例えば、「小説の主人公は痩せた主人公だから、映画の主人公もこういう人物でなければならない」とか、
「小説の中では、こんな人物ではなかった」とか・・・
妄想が現実になると違いというものが少なからず出てくるものですが、
原作とキャラクターが違うからといって、その映画が面白いのか面白くないのかは別だということ。
今回の作品でも、「小説と主人公が一致しない」と嘆いている映画クレーマーがネット上にいますが、それは「木村拓哉」が可愛そうです。
可愛そうというより、僕としては「木村拓哉」の演技は嫌いではないというのが正直なところです。
小説と映画のギャップでよくあるのが、自分の中で思っていた事実とは「違う」という残念な部分はよくあることなのです。
結局それも、個人の妄想の中で出来上がった、好き嫌いの中にある部分でしかないと思うので、
映画なら演出の部分が変わることがとても大きいので、違うものができてしまうのは時にメリットでもあるし、時にデメリットでもあったりします。
なので小説ではなく、”映画”「マスカレード・ホテル」を観た感想と共に、どの作品が本当におすすめなのか、再度、初心に帰り東野圭吾映画作品をランキング形式にしてみました。
【第3位】【マスカレード・ホテル】
新作映画なのですが、僕の中では結局、マスカレード・ホテルは3位という位置づけになりました。
<スタッフ>
☆原作:東野圭吾
☆監督:鈴木雅之
☆脚本:岡田道尚
☆音楽:佐藤直紀
他・・・
<キャスト>
☆新田浩介:木村拓哉
☆山岸尚美:長澤まさみ
☆能勢:小日向文世
☆藤木:石橋凌
☆稲垣:渡部篤郎
☆本宮:梶原善
☆関根:泉澤祐希
☆久我:東根作寿英
☆河本:石川恋
☆綾部貴彦:濱田岳
☆高山桂子:前田敦子
☆大野浩一:笹野高史
☆古橋:高嶋政宏
☆安野絵里子:菜々緒
☆栗原健治:生瀬勝久
☆館林:宇梶剛士
☆森川寛子:橋本マナミ
☆片桐瑶子/長倉麻貴:松たか子
☆田倉:鶴見辰吾
☆尾崎:篠井英介
☆女装した男:勝地涼
☆政治評論家:田口浩正
☆大竹:明石家さんま(友情出演)
他・・・
キャスト陣営もどちらも申し分のない豪華俳優陣です。
主演は木村拓哉と長澤まさみのコンビ。
今ではお互いにビック俳優ですが、木村拓哉と長澤まさみのコンビがそんなに違和感がなかったと思いますし、どちらも数多くの作品をこなしてきた俳優だけあって、すんなりと作品に馴染めました。
特に、ホテルを舞台にしているということで、長澤まさみのホテルマンとしての演技が要で、この作品の良し悪しを決めるといっても過言ではありませんでした。
ホテルマンとしての演技に違和感がありませんでしたし、最近の彼女は大人の女性としての気品がとてもありますね。
映画WOOJOB!(ウッジョブ)当時の彼女からは想像できないほどの気品さです。
そしてこの作品、大竹役に明石家さんまが(友情出演)しています。
映画の1番最後のエンディング付近でチラッとだけ登場しています。
エンディングで明石家さんま(友情出演)と出た時、あれ?
さんまさんどこで出たんだ?
と謎に包まれた辺りに後ろで出演しています。
大竹役ってところがおもしろい。
たぶん大竹しのぶさんの引っ掛けだと思います。
<マスカレード・ホテルのスタッフでココ気になる!>
マスカレード・ホテルの監督は鈴木雅之。鈴木雅之監督といえば映画GTOの初監督。
フジテレビの演出家で、テレビドラマ木村拓哉主演のHEROの演出をしていたり、最近でいえば映画、本能寺ホテルの監督をしています。
今回、監督の演出がどういったものになるのか楽しみだったのですが、ロイヤルパークホテルが舞台となっている今回の作品ですが、ホテルというミステリアスな部分をどう表現していくのか楽しみだったし、ホテルの外観を見せた表現のしかたはおもしろいとおもいました。
ホテルの外側から中を映し出すシーン、その後ホテルの外に戻るといったカメラアングルが新鮮に感じ、結構よかった気がします。
脚本は岡田道尚、小栗旬主演ののぶながコンツェルトの脚本も担当しています。
この作品で見せる表現をどれだけ残しどれだけ捨てるのか・・・
音楽:佐藤直紀
音楽は佐藤直紀、日本でも有名な作曲家です。映画、手紙も担当しています。
映画海猿やプリキュア、寄生獣、最近でいうと映画、劇場版コード・ブルードクターヘリ緊急救命も担当している、
映画やドラマ、アニメ、CMなど、日本の音楽のパイオニア的な存在といっても良いほど素敵な音を奏でる音楽家です。
今作の音楽も、独特な感じでいて聞きやすい、映画に入り込める曲となっていました。
楽しくなるといった部分を後押しさせてくれたのは、佐藤直紀の音楽がとても良かった!
マスカレード・ホテルオリジナル・サウンドトラックにある曲を聞いて、とても映画が楽しくなったと思います。
曲に興味があるのなら、こちらからサンプルを聞くことができます。
【この作品の感想】
音楽と共に進んでいく演出は、なにか不思議な世界に迷いこんでいるかのような気持ちになりました。
ホテルによく行く方もいるし、あまりホテルにいかない方もいるでしょうが、
ホテルに行くなら、客としてとかではなく、本当に大切にされたい!
最上級のおもてなしをしてほしい!
誰しもそう思うのではないでしょうか?
山岸尚美役の長澤まさみが新田浩介役の木村拓哉に言ったセリフ「客じゃなくてお客様です」
刑事がホテルウーマンにホテルマンとしての仕事を教育されながら犯人を捕まえるというこの物語。
内容的には今までなかった作品だと思いますが、演出と演技と音楽がスムーズに流れていく感じが良いと思いました。
ホテルに入るそれぞれの客が、毎回一直線にフロントに向かう姿などは、なにげに面白いです。
主演、木村拓哉と長澤まさみで行われた今回の作品ですが、その他の俳優さんたちの後押ししている演技がわかる人にはわかると思います。
推理としては、物語の完成度を考えると、演出の結末がなぜかあっけなかったという感じがして残念な部分はあります。
ですので、賛否両論あるでしょうが、今回は3位。
【2位】 映画「手紙」
圧倒的に面白い作品に変わりはありません。舞台やミュージカル、テレビドラマ化もされている名作ともいえる作品。
今回も2位の座をキープ。
<ストーリー>
弟と2人暮らしをしていた武島剛志は腰を患っており、働こうにも働けないでいた。そんな中、
弟の武島直貴(山田孝之)の大学進学のために仕方なくお金欲しさのため空き巣に入る。
空き巣に気づいたその家の緒方敏江を殺してしまい、強盗殺人で刑務所に。
獄中の兄から直貴宛に手紙が届くようになる。
武島剛志の思いとは裏腹に、世間で直貴は強盗殺人をした兄の弟というレッテルを貼られていた。
進学や仕事、就職や恋愛という幸せをつかもうとする直貴だが、強盗殺人した兄の弟ということがバレて、
幸せがすべて崩壊させられる。
それでも理解してくれる由美子(沢尻エリカ)との葛藤もあるなか、二人は結婚し子供も授かる。
娘の美紀が兄が殺人犯ということで仲間はずれにされ、家族と共に生きていくことに辛さを感じながら、
剛志と縁を切ることを決断し、獄中にいる兄に手紙を出すのだった。
<スタッフ>
監督:生野慈朗
脚本:安倍照雄、清水由佳子
主題歌:高橋瞳{コモレビ}
挿入曲:小田和正「言葉にできない」
・・・他
<キャスト>
武島直貴:山田孝之
武島剛志:玉山鉄二
白石由美子:沢尻エリカ
中条朝美:吹石一恵
中条:風間杜夫
寺尾雄介:尾上寛之
嘉島孝文:山下徹大
緒方:高田敏江江
尾形忠夫:吹越満
平野:杉浦直樹
倉田:田中要次
ケーズデンキ店長:小林すすむ
倉田:田中要事
神山裕子:石井苗子
バーのマスター:松澤一之
・・・他
<作品の感想>
映画手紙の良さはなんと言っても直貴役の山田孝之の演技が最高だということ。
さらに、白石由美子役を演じた沢尻エリカの若さで演じる演技も良かった。
さらにいうと、ケーズデンキの社長を演じた小林すすむのセリフ「君はここで生きていくんだ」という
セリフも映画の中でとても感動したし、中条朝見役の(吹石一恵)の父親、中条役の風間杜夫の演技もお堅い父親役がハマっていました。
刑務所に行った兄のせいで自分の人生がめちゃめちゃになってしまうという姿を描いているこの作品なのですが、
なにが良かったかというと、原作の良さはもちろんなのですが、由美子役の沢尻エリカの直貴に対する愛(LOVE)がとても伝わってきたというのがあります。
由美子役の沢尻エリカがかわいいというの、ももちろんありますが、「かわいい沢尻エリカに直貴が振り向かないほど興味がないしぐさ」に妙に引き込まれたし、
兄の犯罪によって、自分の幸せがすべて台無しになってしまう恐ろしさに恐怖を感じ、悲しい気持ちになったし、親友を騙して、自分から漫才もあきらめてしまった
ことなども、感情を揺さぶられた作品でした。寂しくなって、悲しくなって、とても引き込まれたのです。
映画の音楽も良かった。
兄がいる刑務所で漫才をする直貴、そこでこの音楽は涙を誘うバズーカ砲としかいえません!
小田和正「言葉にできない」がとてもこの作品を盛り上げています。
主題歌、高橋瞳の「コモレビ」、そして若山かずさの「縁切寺」も作品を切なくしていました。
まだ観てないならぜひ観てみてほしい作品です。
【第1位】【容疑者Xの献身】
<スタッフ>
☆監督:西谷弘
☆脚本:福田靖
☆音楽:福山雅治、管野祐悟
他・・・
<キャスト>
☆湯川学:福山雅治
☆内海薫:柴咲コウ
☆花岡靖子:松雪泰子
☆石神哲哉:堤真一
☆草薙俊平:北村一輝
☆栗林宏美:渡辺いっけい
☆弓削志郎:品川祐
☆城之内桜子:真矢みき
☆工藤邦明:ダンカン
☆富樫慎二:長塚圭史
☆花岡美里:金澤美穂
☆村瀬健介:林剛史
☆小淵沢隆史:福井博章
☆森英太:伊藤隆大
☆渡辺美雪:高山都
☆谷口紗江子:葵
☆平原瑶子:小松彩夏
☆ホームレスの男:鈴木卓爾
☆女将:福井裕子
☆野球監督:リリー・フランキー(友情出演)
☆八木亜希子
☆有薗文雄:石坂浩二
☆葛城修二郎:益岡徹
☆柿本純一:林泰文
他・・・
<容疑者Xの献身のスタッフでココ気になる!>
監督は西谷弘。真夏の方程式も監督を努めています。
ドラマだと草なぎ剛の任侠ヘルパーの監督も努めていますが、実は、上戸彩主演のドラマ、昼顔の監督でもあります。
しかしよくいろんなドラマを演出できるものですね、ドラマの内容はすべて違いますからね!
フジテレビドラマの監督として数々の名作を努めてきた監督でもあります。
脚本は福田靖。
映画ホワイトアウトや海猿、HERO、犯人に告ぐなど幅広く活躍している日本の脚本家。
坂本龍馬の生涯を描いた福山雅治主演の「龍馬伝」の脚本を担当しています。
もちろんこの作品の原点である、ガリレオの脚本も担当しています。
ガリレオももちろん楽しめたドラマ作品だったのですが、
シリーズものである「龍馬伝」の福山雅治もとても良かったですね。
福山雅治もこの作品に込めた思いはそうとうなものだったに違いありません!
音楽は福山雅治、管野祐悟。
音楽もできて演技もできる日本でも数少ないマルチな活躍をする存在ってところがスゴイですね。
福山のラジオ番組をいつも聞いていた時代が僕にもありましたが、やっぱり心の部分がかっこいいと思いますし、なにをやってもさまになりますね、普通なら外見がカッコいいだけで普通の人間ならそこで終わってしまいますが、
福山雅治は違います、何をやっても本気ですし、何をやってもモノにしてしまいます、そんな外見と内面が備わっているほぼパーフェクトな男はそんなにいません。
「おもしろい」ということを基準にするなら、エンターテイメント性やウキウキやワクワク感にやられた分野でいうと、やっぱり音楽(曲)という部分をはずせません。
容疑者Xの献身のエンディングもなっている主題歌「KOH+最愛」(福山雅治&柴咲コウ)は、作品の最後に流れる曲として、とても合っていて、
作品を観終わった後のエンドロールで気分をさらに後押しさせてくれる曲になっています。
<作品の感想>
作品の感想なのですが、この作品に序盤に関して言えば、もう怖いの一言です。
映画とはいえ、殺人シーンがこんなにリアルに表現された演出はあまりないと思います。
映画でよくある殺人シーンは、拳銃やナイフ、格闘技を使った殺しなどが多いと思いますが、
2人の女性親子が部屋の電気コードで殺人を犯すような作品が他にあるでしょうか?
とてもリアルに感じたし、そのシーンが正直怖くて、夢にまで出てきそうでした。
さらに事件を解決する湯川学の思いと石神哲哉の思いが静かに炸裂している展開に勝るものはないし、
湯川学が普段の推理を解く姿とはまったく違った展開にモヤモヤしてきます。
湯川学といえば、かしこく強い存在。
そんな湯川学が、珍しく弱くなってしまいます。
いつもと違う、弱くなった湯川学をそっと影から支える内海薫役の柴咲コウの存在がこの作品をおもしろくしています。
まだ観てないのなら、きっと楽しめる作品だと思います。
よかったら観てみてほしいです。
【最後に】
今回は東野圭吾原作の映画ランキングをお伝えしましたが、東野圭吾作品のミステリーは、時代に限らず人気作ばかりでやはりおもしろいと思います。
最近では、書店やコンビニなどでも昔の東野圭吾作品の小説をふと目にしたりしますが、映画だけではなく小説も楽しめますよ!
興味があればぜひ御覧くださいね。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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